OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

リウマチとは?~こわばりありませんか?~【整形】

リウマチ

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1.関節リウマチとは


・関節リウマチとはリウマチ性疾患の代表的。

・寛解と再燃を繰り返しながら慢性に進行する破壊性の関節炎を主症状。

・同時に種々の関節外症状を有する全身性疾患である。

 

2.リウマチ性疾患とは


リウマチとは、関節・骨・軟骨・関節包・靭帯・腱・筋などに、腫脹や疼痛などを認める疾患をまとめていう場合に使われる。

 

・患者数は全人口の0.3~1.5%


女性>男性(比は、3~5:1といわれています)

 

・関節症状はリウマチは滑膜を有する全ての可動関節を侵襲する可能性がある。

 

各関節が発病早期から侵されることが多いと言われれいる。

※また病気の経過中、顎関節、環軸関節なども比較的侵されやすい。

 

リウマチの経過
発症早期=関節周囲の軟部組織が腫脹熱感こわばり他動関節痛が出現。


関節炎が慢性化=軟骨や骨の破壊、筋萎縮、靭帯や腱の弛緩または、短縮などが起こり、関節の拘縮や強直、種々の変形を生じる。

 

 ※全身屈曲パターン(体が曲がった状態)となりやすい。

 

関節外症状
関節外症状は発熱、食欲不振、易疲労感、全身倦怠、赤沈着の亢進、体重減少、貧血、その他の皮膚症状、肺、眼、心病変など。

 

<予後>
一般に慢性に経過し、その経過は一相性・多相性・進行性の3型に分けられる。


一相性:初期に大きく症状は悪化するが、徐々に穏やかな経過を示す。


多相性:症状が悪化したり、おさまったりを繰り返す。


進行性:症状が徐々に悪化する。

 

 

3.リウマチの病理分類

 

StageⅠ

①骨破壊像はない。

②オステオポローゼはあってもよい
StageⅡ
①軽度の軟骨下骨の破壊があっても、なくても良い。オステオポローゼがある。ただし、軟骨は軽度の破壊があっても良い。

②関節周囲の萎縮筋がある
StageⅢ
①オステオポローゼの他に軟骨ならびに骨の破壊がある
②亜脱臼、尺側偏位、過伸展のような変形がある。なお、強直はない。
③強度の筋萎縮がある
StageⅣ
①強直がある

 
ClassⅠ
①日常生活を普通にこなせる。

(日常の自分の身の回りの世話、職場での機能性、趣味・スポーツなどの活動性)
ClassⅡ
①日常の自分の身の回りの世話および職場での機能性は果たせるが趣味・スポーツなどの活動性は限定される。

ClassⅢ
①日常の自分の身の回りの世話は出来るが、職場での機能性および趣味・スポーツなどの活動性は限定される。

ClassⅣ
①日常の自分の身の回りの世話、職場での機能性、趣味・スポーツなどの活動性が限定される。

 

※日常の自分の身の周りの世話:衣類の着脱、食事、入浴、身づくろい、用便などの動作

※職場での機能性:職場、学校、家事に関する活動が患者の希望、年齢、性にあっていること

※趣味・スポーツなどの活動性:レクリェーション、レジャーに関する活動が患者の希望、年齢、性にあっていること。

 

 

4.リハビリ(作業療法)

 

<評価>
リウマチに対する評価

①リウマチの進行程度(現症の)把握

②作業療法目標の設定、作業療法の方法の決定

③各関節の状態、全身症状、身体機能、ADL能力、心理的側面、経済的側面、職業あるいは社会的活動能力など広範囲に及ぶ情報を把握。

 

他部門からの情報
①医師:現病歴、既往歴、合併症(関節外症状)、関節X線像、Stage、class、一般臨床検査(CRP、赤沈値など)、リウマチの活動性、(予後予測)、薬剤情報、手術の情報など。

②Ns、または家族:日常生活について

③PT:治療、援助方法について(物理療法、運動療法など)

④その他の部門:ソーシャルワーカー、顎関節障害が出てきたらSTも入る。

 

面接

主訴

②家族構成、家屋構造など

ADLに関して(生活スケジュールなど)

 

観察
関節症状(腫脹、変形、強直、疼痛など)

・主な関節、主な変形について1つずつみていく。

・疼痛の性状もチェックすること。

(自発痛、運動痛、荷重痛、2次性の疼痛など)

②姿勢・歩容のチェック

③ADLテスト

④IADLテスト

・必要に応じ、評価する。女性に好発するため、必要とされる項目も多い。

 

5.検査・測定

①ROM-T
ADLに結び付けて考えやすいように、座位でA-ROMを測定すると良い。

・関節を痛めないように十分注意すること。

・基本的には自動可動域を測定するが正確な数値が必要な時は他動可動域も測定。

・他動可動域ときは疼痛・捻髪音に注意しながらゆっくりと優しく動かす。

※決して無理な外力は加えない。


②筋力測定
・MMT←行わない 

※痛みが出るため。動かすことが出来たら、筋力3以上とする。

・握力測定

・ピンチ力測定


③上肢機能のテスト
・把持機能のテスト
 書字:片方だけでよいので行い、ミミズ文字だったらピンチ力の低下。

・簡易上肢機能検査(STEF)


④QOLテスト

・変形・関節症状のチェック
 手指の関節症状や変形は、上肢機能検査やADLに影響を及ぼすので、詳しく所見をとる。足部の変形もひどくなると起居移動動作に影響があるので必ずみる。

 

⑤上肢機能検査
リーチ機能、把握機能、両手の協調動作などを検査する。

・リーチを測定することにより、個々のROM測定では測定できない動作の障害を把握することが可能となる。

・把握機能を検査する際は、手の変形と機能との関係をよく観察する。

 

⑥ADL検査

・どの方法で動作しているかを観察し、動作が困難な原因を見つけることが大切。

・疼痛は日内が大きいので、ADL検査は一定の時間を決めて行う。

・一定の時間をとれない場合は、検査時の患者の状態を特に詳しく記録する。

・リウマチ患者には家庭の主婦の立場の人が多い。

※必要な場合には家事動作の評価も行う。

 

 

6.援助方法

 

①ADL能力維持・改善への援助
痛みを誘発するような動作を避ける。

・疲れやすく耐久力のない患者に無理な負荷を与えずエネルギー消耗を最小限に。

・関節を長持ちさせつための動作を工夫すること。
・関節に無理な負担をかけている場合には、より合理的なスケジュールに組み替えたり、動作のやり方を修正する。

・自助具は便利だからといいむやみに使用しない。

・状態と疼痛の変動を考慮したうえで道具を工夫し、使用時期や時間帯を指導。

・リハビリ時は十分な時間と繰り返し練習できる機会が必要。

・各動作が関節保護の原則に則って最後まで出来るようになることが大事。

・患者の可能な限りのADLと遂行させるように援助する。

・家族指導は初期のうちから実施する。

 

②家事動作能力の維持・改善への援助

疲労を最小限にとどめる工夫が必要。

・身体的な面だけでなく精神的な面でのサポートも大切。

・精神的な面では、安定感を維持しなければならない。

・家族の暖かい思いやりが不可欠である。

・家族の理解協力により作業しやすい環境を作りをしていくことが大切。

 

デイサービスでもリウマチの方はいらっしゃると思います。特に痛みに悩んでいる方が多いのでご本人に確認しまがら入浴や排せつの介助に入ってもらうとよいと思います。でも痛みに気を使いすぎて介助するのが怖いと言われる人もいるかもしれません。それほど気にせずご本人に声掛けを行うながら行えば大丈夫です。自信を持ってくださいね。