OT【作業療法】のブログ~医療・介護福祉・リハビリ~

2008年から作業療法士をしています。医療福祉の情報や病気、怪我、体験談なども書いていきたいと思います!! よろしくお願いします。

【文献】最新の文献・研究を読んでみた①

【文献】最新の文献・研究を読んでみた①

 

「今日も課題でてんてこまい」の写真

 

 

動作中に手で触れる物の感覚を感じにくいのはなぜか?の仕組みを解明

研究で分かったこと

本研究によって、皮膚など末梢感覚センサーからの感覚信号は、感覚信号の入力部(延髄楔状束核)において、運動開始前から予測的に調整されており、この調整は脳が事前に感覚信号に対するシグナルを出すことで行われていることが明らかとなった

体への影響

このことにより、高次脳領域では感覚情報処理にかかる負担が軽減され、“柔らかさ”や“なめらかさ”などより複雑な触感覚の認識を可能にしていると考えられる。

また、このメカニズムは、健康な動物の感覚情報処理様式を示すとともに、様々な疾患による感覚運動異常を共通して説明しうる。特に、自動運動時と他動運動時とで感覚入力信号に対する調整様式の違いは、自己と他者の運動区別に関わっていること考えられる。

期待されること

今後は、統合失調症などにおける自他混同などの病態の背景として、楔状束核の機能異常に着目した新たな治療法の開発が期待される。

 

歩行に重要な“足首を素早く動かす能力”加齢と性別による能力の変化を検証

ポイント

・歩行に重要な要素として足関節底屈運動速度(足首を素早く動かす能力)が注目。

・加齢とともに底屈運動速度は約 26%低下するが、男女間では差がないことが明らかに

・運動速度は、加齢だけでなく男女間でも差がある筋力とは別の指標として考える必要。

研究で分かったこと

本研究により、歩行速度に大きく関わる機能の一つの「運動速度」が、「筋力」とは独立した機能であることが示された。

本結果から、効果的に歩行速度を改善するためには、筋力だけではなく運動速度の向上にも焦点を当てたトレーニングが必要であると考えられる。

期待されること

本研究で示された足関節底屈運動速度の加齢変化や性差に関する基本的な情報は、今後効果的な介入方法を検討する上で有用な知見になると期待。研究グループでは、底屈運動速度の向上を目標にした運動機器の開発や実証実験を進め、効果的な運動速度トレーニングの実用化を目指している。

 

歯の本数・噛みにくさ・口の渇きは体重減少・増加に影響する ~歯が9本以下の人では体重減少が1.17倍、体重増加が1.23倍起こりやすい~

研究で分かったこと

口腔機能低下(少ない歯の本数、咀嚼困難、口腔乾燥)が体重減少だけでなく体重増加にも影響を及ぼす可能性があることが明らかになった。

歯の喪失や咀嚼困難、口の渇きは高齢者において有病割合の高い口腔の健康問題であり、食事摂取量に直接影響しやすい要因。歯の喪失・咀嚼困難にはブリッジや入れ歯等の歯科治療を実施すること、口の渇きには唾液腺マッサージ等の口腔リハビリテーションを実施することにより、口腔機能の改善、さらには食事内容や食事摂取量の維持・改善が期待。その結果、体重減少・増加を予防し、全身の健康問題を防止することにつながる

日本の研究:https://research-er.jp/

 

 

【情報】機能性ディスペプシア~謎のみぞおちの痛み~

機能性ディスペプシア~謎のみぞおちの痛み~

 

「胸の痛みに苦しむ男性」の写真[モデル:大川竜弥]

 

 

概要

機能性ディスペプシアとは、検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を現す病気。(Functional Dyspepsia:FDともいう)。機能性ディスペプシアの罹患率は約15%との報告がある。

 

原因

機能性ディスペプシアの原因はまだはっきりと分かっていない。

原因の1つとして・・・

・胃・十二指腸の運動異常

・知覚過敏

・胃酸分泌

・心理的なストレス などが考えられている。

最近ではサルモネラ感染などによる感染性胃腸炎が治った後に、機能性ディスペプシアを発症する例も報告されている。

その他に、アルコールや喫煙、不眠といった生活習慣の乱れも関わっているとされ、これらの原因が複数組み合わさって発症すると考えられている。

 

症状

機能性ディスペプシアでは、みぞおち辺りの痛みや灼熱しゃくねつ感、食後の胃もたれ、早期飽満感(少し食べるだけでお腹がいっぱいになる)などの症状がみられます。

胃もたれは、前日に脂っこいものを食べたりお酒を飲みすぎたりしたときなどによくみられる症状で、暴飲暴食であれば胃を休めると自然に軽快していきます。

しかし、機能性ディスペプシアの場合には暴飲暴食などの明らかな原因がないにもかかわらず、このような症状が慢性的に持続し、毎日あるいは週に数回程度現れます。

症状の種類や程度は人によってさまざまで、みぞおち辺りの痛みと灼熱感のどちらかがある場合を心窩部痛症候群、食後の胃もたれと早期飽満感のどちらかがある場合を食後愁訴症候群と呼び、2つの病型に分類されています。この2つが重複することもあります。

 

検査・診断

機能性ディスペプシアの診断には、症状の原因となり得る病気を否定することが重要です。

そのために、詳細な問診(症状の種類・発症時期・食事との関連・体重減少の有無など)によって病態を確認します。そのうえで、多くの場合は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)やピロリ菌検査が行われます。

必要に応じて、血液検査や腹部CT検査、超音波検査などが行われることもあります。このような検査の結果から、明らかな異常がない場合に機能性ディスペプシアと診断されます。

 

治療

機能性ディスペプシアでは症状に応じた薬を用いて治療します。第一選択薬として推奨されているのが、胃酸の分泌を抑える酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬など)と、胃のはたらきをよくする消化管運動機能改善薬(ドパミンD2受容体拮抗薬やコリンエステラーゼ阻害薬など)です。

一般的には、みぞおち辺りの痛みや灼熱感がある心窩部痛症候群には酸分泌抑制薬、食後の胃もたれや早期飽満感がある食後愁訴症候群に対しては消化管運動機能改善薬が用いられます。

また、考えられる原因に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬(六君子湯りっくんしとうなど)が使われることもあります。ピロリ菌に感染している場合にはピロリ菌の除去療法が検討されます。

 

予防

機能性ディスペプシアは、約5人に1人が数か月以内に再発するといわれています。しかし、原因を特定することが難しい病気であり、発症・再発予防の方法はまだ明らかになっていません。

とはいえ、胃酸分泌や感染症、心理的ストレスなど、考えられる原因を防ぐことで機能性ディスペプシアの予防につなげられる可能性も考えられます。

十分な睡眠を取る、食事を腹八分目にして過度な飲酒を避ける、ストレス対策をするなどの基本的な心がけは、ほかのさまざまな病気の発症予防にもつながるため、意識的に予防策をとるとよいでしょう。

 

【情報】ブレインフォグとは~もやもや?脳の霧??~

【情報】ブレインフォグとは

 

「頭を抱える案件ばかりで苦悩する女性社員」の写真[モデル:SAKI]

 

 

ブレインフォグとは

ブレインフォグは、頭の中が混雑(もやもやする感じ)し思考や集中力が鈍くなる現象。情報処理が難しく感じ、記憶や判断に影響を与えることがある。ストレス、睡眠不足、栄養不良、慢性疲労などが原因で起こることが多く、うつ病や不安障害とも関連がある。

※ブレインフォグは、医学用語として定義されているわけではなく、「脳の霧」という症状だと考えられている。そのため、病気として診断されるわけではない。

 

ブレインフォグの原因

ブレインフォグの原因については、はっきりと詳しいことは分かっていないが、ストレス、睡眠不足、栄養不良、慢性疲労などが原因で起こることが多く、うつ病や不安障害とも関連があると言われている。

脳に負荷をかけることが原因

現代において、スマートフォンやタブレット、パソコン、ゲーム機などの通信機器が1つの原因だといわれている。これらは、見ているだけで常に情報がどんどん頭の中に入っていきます。自分が意識していない情報を無意識に目から脳に伝わり、脳に負荷をかけてしまうため、ブレインフォグを引き起こすと考えられる。

社会生活の中で抱えるストレスが原因

また、社会生活の中で職場の人間関係や仕事の負担、家庭における何かしらの問題などで強いストレスを抱える人も多い。そのストレスや不安な状態が続くと、睡眠不足や食欲不振などを引き起こす可能性があり、ブレインフォグも同時に発症している場合がある。ストレス発散のために、喫煙やアルコールの摂りすぎなど不摂生な生活をしてしまうと、さらにブレインフォグが発現するリスクも高まる。

抗うつ薬の服用が原因

ブレインフォグを発症している人の中には、抗うつ薬を飲んでいる方もいると言われている。抗うつ薬などの薬物治療により、うつ病の症状を改善させる他にも、何かしらの影響を脳に与えている。抗うつ薬の服用や、うつ病に対するお薬を減量したときにブレインフォグが見られるという場合もある。

 

ブレインフォグの特徴や症状

ブレインフォグの症状として、「頭の中に霧やモヤがかかったように、ぼんやりとしてしまい、考えることや集中することが難しい状態」が挙げられる。また、その症状がどのくらい続くのかは個人差があり、治療が必要なレベルなのか経過観察で大丈夫なレベルかは人によって違う。。

具体的な特徴・症状

集中しようとするほど、頭がぼんやりしてしまう

相手の話が入ってこない スムーズな会話ができない

物事を開始する、行動するのに時間がかかる

マルチタスクができない

考えごとをしていても、情報が散らばってまとまらない

頭が冴えない

焦点を合わせることが難しい 物事を覚えたり、思い出したりすことが難しい

良い言葉が思いつかない

これらの症状は、もちろん人によって出現も症状の程度も様々。そして、どの症状も「本人の認識、感覚」の問題であり、周りからみたら「怠けている」「だるそうにしている」と、マイナスな印象を与えてしまうこともある。

 

ブレインフォグの診断

ブレインフォグは、病気として診断できず、何かしらの原因によって引き起こされる、症状の一つだと考えられる。たとえば、「物事を覚えたり、思い出したりすることが難しい」「忘れっぽい」といった認知機能の低下が主な症状の場合、ブレインフォグが発症しているのか、それとも認知症やうつ病のような精神疾患が隠されているのか。判断できる情報を医師に伝えることで、より正確に判断できる。

 

ブレインフォグを引き起こす可能性がある病気

慢性疲労症候群

睡眠障害(不眠症・過眠症)

PMS(月経前症候群)・PMDD(月経前不快気分障害)

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)

適応障害

不安障害

うつ病

双極性障害

アルコール・薬物依存  など

 

ブレインフォグの治療法

ブレインフォグの治療法は、生活習慣の改善TMS治療(磁気刺激治療)の2つがあるよう。

ブレインフォグの原因は、脳の疲労やストレス、睡眠不足や生活習慣の乱れなどが挙げられる。そのため、食事や睡眠のような生活習慣を見直すことや、脳疲労やストレスなどの負担がかからない生活を送ることが大切になる。

また、症状の中にある「思考力の低下、集中力の低下」などは、脳の神経ネットワークが偏りを引き起こすことで発症していると考えられる。そこで、TMS治療(磁気刺激治療)を施すことで、脳のネットワークを調整しブレインフォグの改善が期待できるといわれている。

この治療は1回で終わる治療ではなく、医院にもよりますが合計で30回ほどの治療が必要と言われており、通院する必要。ただ、効果的な治療法としてブレインフォグ以外のうつ病や不安障害などの症状を治療する、薬物を使わない治療法として世界中で普及されている治療法となっているようである。

 

まとめ

ブレインフォグは医学的に定義されているものではないため、症状は多岐に渡る。慢性的に症状が続くようであれば精神疾患の可能性を疑い、専門機関を受診したほうが良い。

 

【情報】痛風と偽痛風 ~痛いのは変わらない~

【情報】痛風と偽痛風 ~痛いのは変わらない~

 

痛風のイラスト

 

 

痛風

痛風の原因

痛風は、血液中の尿酸の濃度が高い状態が続く高尿酸血症に起因する疾患である。尿酸は、プリン体(プリン環の構造を持つものの総称。核酸の代謝によってつくられるもの)が分解されることでできる物質で、プリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつたまっていく。

尿酸は、腎臓や腸管から排出。血液中の尿酸値は、体内でつくられた量と排泄された量のバランスによって決まるが、血液中の尿酸値が上昇すると、高尿酸血症が出現。血液に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節や皮膚の下に蓄積することで痛みや腫れを引き起こす。

 

痛風の症状

痛風発作は足の親指の付け根に生じることが多いのが特徴。痛みを生じた箇所は赤く腫れ上がり、熱感を伴う。痛風発作は足の親指の付け根以外にも、足・膝・手などの関節にも起こる。痛風発作の痛みは耐え難いほどの激痛で、日常生活が困難になる人もいる。通常、24時間以内に痛みのピークを迎え、強い痛みが数日間続き、7~10日間で症状は治まる。

 

痛風の治療

高尿酸血症の改善が重要。痛風発作の急激な痛みに対しては、消炎鎮痛薬を使用。痛風発作が治まったら、血中の尿酸値を下げるために尿酸降下薬の服用を開始。

薬物療法のほかに生活習慣の改善が重要。尿酸値が高い高尿酸血症の状態が続くと、痛風発作を繰り返す原因となる。尿酸を増やさないためには、尿酸の元となるプリン体が多く含まれる食品(肉や魚の内臓など)やアルコールを控える。

 

偽痛風

偽痛風の原因

偽痛風の原因は、ピロリン酸カルシウム結晶の関節軟骨への沈着で起こる。関節局所にピロリン酸カルシウムが過剰に存在するために、結晶化して沈着すると考えられる。

沈着理由は原因不明。高齢、外傷(手術を含む)、代謝性疾患(低マグネシウム血症、低リン血症、ヘマクロマトーシス、痛風、副甲状腺機能亢進症など)、遺伝性疾患などをよく伴うことから、このような病態による関節の変形や代謝性変化に続いて結晶が沈着することが示唆されている。

 

偽痛風の症状

ピロリン酸カルシウム結晶が大量に沈着しているにもかかわらず無症状の方もいるが、典型的には大関節に強い痛みが生じ、発熱、関節が腫れる、赤くなる、運動時の痛みなどを認める。

頻度が高い部位は膝関節で、偽痛風の半数以上が膝関節に症状が出現する。そのほかの部位としては、肩関節、足関節、手関節によく起こる。

 

偽痛風の治療

現在のところ、効果的な治療法は、痛みを和らげるための対症療法が中心となる。急性の関節炎に対しては非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が用いられ、これを内服して痛みの軽減を図る。複数の関節が同時に炎症している場合や、全身性の炎症反応が強い場合にはステロイド薬を全身投与することもある。また、医療機関では、局所の治療として穿刺による関節液の排出とステロイド薬の関節内注入もしばしば行われる。

 

痛風と偽痛風の違いまとめ

痛風

・男性に多い

・尿酸が関節に沈着

・暴飲暴食など不摂生が原因になりやすい

・多くは足の親指の付け根に痛みが生じる

・強い痛みを感じる

偽痛風

・男女ともに高齢者に多い

・ピロリン酸カルシウムが関節に沈着

・原因不明

・多くは膝が痛む

・炎症と同時に熱がでやすい

 

【健康】機能性ディスペプシア~謎の腹痛の正体!?~

【健康】機能性ディスペプシア~謎の腹痛の正体!?~

 

 

概要

機能性ディスペプシアとは、検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を現す病気。(Functional Dyspepsia:FDともいう)。機能性ディスペプシアの罹患率は約15%との報告がある。

 

原因

機能性ディスペプシアの原因はまだはっきりと分かっていない。

原因の1つとして・・・

・胃・十二指腸の運動異常

・知覚過敏

・胃酸分泌

・心理的なストレス などが考えられている。

最近ではサルモネラ感染などによる感染性胃腸炎が治った後に、機能性ディスペプシアを発症する例も報告されている。その他に、アルコールや喫煙、不眠といった生活習慣の乱れも関わっているとされ、これらの原因が複数組み合わさって発症すると考えられている。

 

症状

機能性ディスペプシアでは・・・

 ・みぞおち辺りの痛み

 ・灼熱しゃくねつ感

 ・食後の胃もたれ

 ・早期飽満感(少し食べるだけで満腹になる感覚) などの症状がみられる。

機能性ディスペプシアの場合、暴飲暴食などの明らかな原因がないにもかかわらず、上記のような症状が慢性的に持続し、毎日あるいは週に数回程度現れる。

 

窩部痛症候群:症状の種類や程度は人によってさまざまで、みぞおち辺りの痛みと灼熱感のどちらかがある。

食後愁訴症候群:食後の胃もたれと早期飽満感のどちらかがある。

上記2つの病型に分類され、この2つが重複することもあります。

 

検査・診断

機能性ディスペプシアの診断には、症状の原因となり得る病気を否定することが重要。

詳細な問診(症状の種類・発症時期・食事との関連・体重減少の有無など)によって病態を確認。そのうえで、多くの場合は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)やピロリ菌検査が行う。

必要に応じて、血液検査や腹部CT検査、超音波検査などが行われる。さまざまな検査の結果から、明らかな異常がない場合に機能性ディスペプシアと診断される。

 

治療

機能性ディスペプシアでは症状に応じた薬を用いて治療。

第一選択薬として推奨されている薬

胃酸の分泌を抑える酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬など)

胃のはたらきをよくする消化管運動機能改善薬(ドパミンD2受容体拮抗薬やコリンエステラーゼ阻害薬など)

一般的には、みぞおち辺りの痛みや灼熱感がある心窩部痛症候群には酸分泌抑制薬、食後の胃もたれや早期飽満感がある食後愁訴症候群に対しては消化管運動機能改善薬が用いられる。

また、考えられる原因に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬(六君子湯など)が使われる。

※ピロリ菌に感染している場合にはピロリ菌の除去療法が検討。

 

予防

機能性ディスペプシアは、約5人に1人が数か月以内に再発するといわれている。

原因を特定することが難しい病気であり、発症・再発予防の方法はまだ明らかになっていない。

胃酸分泌や感染症、心理的ストレスなど、考えられる原因を防ぐことで機能性ディスペプシアの予防につなげられる可能性も考えらる。

十分な睡眠を取る、食事を腹八分目にして過度な飲酒を避ける、ストレス対策をするなどの基本的な心がけを行う。

 

【介護】サルコペニアとフレイル~高齢の敵~

【介護】サルコペニアとフレイル~高齢の敵~

 

 

サルコペニアの概要

1989年に Rosenbergが加齢に伴い骨格筋量の減少がおこることの重要性を指摘し、サルコペニアという言葉を提唱。サルコペニアという言葉は、Rosenberg の造語で、ギリシャ語の“肉”を表す“サルクス”と“減少”を意味する“ペニア”を組み合わせたもの。

2010年ヨーロッパのワーキンググルー プ(EWGSOP)が、サルコペニアは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群。身体機能障害、QOL低下、死のリスクを伴うもの」と定めた。従って、サルコペニアは、筋量低下に加えて、筋力の低下または身体機能の低下を伴う場合を表す。

 

サルコペニアのメカニズム

サルコペニアの筋肉は、速筋線維(II 型筋線維)の萎縮が特徴的。速筋線維は遅筋線維より収縮のスピードが速く、発生する張力も大きいので、筋肉の機能面では、ゆっくりとした日常動作はできるが、瞬発力は低下してくる。

筋再生能力の低下による筋線維数の減少もサルコペニア発症に関与している。

 

予防・治療

サルコペニアのメカニズムに述べたように、筋萎縮の予防や治療には、筋タンパク合成を増加させることが必要で、運動・栄養が重要である。

【栄養】

サルコペニア診療ガイドラインでは、適切な栄養摂取、特に1日に(適正体重)1kg 当たり1.0g 以上のたんぱく質摂取はサルコペニアの発症予防に有効である可能性があるとして推奨。

【運動】

安静にしていると筋萎縮がおこり、筋力も低下することから、運動もサルコペニアの発症を予防すると推察される。「サルコペニア診療ガイドライン」でも、運動習慣ならびに豊富な身体活動量はサルコペニアの発症を予防する可能性があり、運動ならびに活動的な生活を推奨している。

 

フレイルの概要

日本では、2014年に日本老年医学会が邦訳を「虚弱」から「フレイル」に変更。フレイルが健康と身体機能障害をきたした要介護状態の中間をあらわす。日本では、フレイルの定義として、日本老年医学会が提唱した「加齢に伴う予備能力の低下のため, ストレスに対する回復力が低下した状態」を用いる。

 

フレイルのモデル

身体的フレイルに関して,2001年に Fried らが加齢に伴って現れる身体機能の衰退兆候をとらえる 5 つの表現型モデルを提唱。この 5つの表現型(動作の緩慢さ、筋力低下、活動性低下、倦怠感・疲労感、体重減少)は、cardiovascular health study(CHS)基準といわれ、身体的フレイルの代表的な診断法として用いる。

 

日本版フレイル評価基準(改定 J-CHS 基準)

体重減少  :6 カ月で,2 kg 以上の意図しない体重減少

筋力低下  :握力:男性<28 kg,女性<18 kg

疲労感   :ここ 2 週間,わけもなく疲れたような感じがする

歩行速度低下:歩行速度<1.0 m/s

身体活動低下:以下の 2 つのいずれにもいいえと回答

1)軽い運動・体操をしていますか?

2)定期的な運動・スポーツをしていますか?

 

予防・対策

身体的フレイルの発症には,老化に影響する多数の因子が関連

【栄養】

たんぱく質の摂取量、毎食のたんぱく質摂取配分、微量栄養素(ビタミン D など)、食事内容の質(多様性)、抗酸化作用を有する食品摂取。

【運動】

活動性の低い生活が危険因子として挙げられる。その他、生活習慣病、ポリファーマシー、意欲低下や抑うつなども関連がある。身体的フレイルとサルコペニアは関連が深いため、フレイルの予防・対策には、サルコペニアの予防・対策である栄養療法と運動療法は共通。

【その他】

栄養療法と運動療法は併用が推奨。高齢者はインフルエンザや肺炎などに感染すると日常活動度が低下し要介護状態に陥りやすい。感染予防のために、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種なども有効である。

 

サルコペニアとフレイル 東海大学医学部看護学科 沓澤 智子

 

【リハビリ】myelopathy hand~頚部脊髄症の手~

【リハビリ】myelopathy hand~頚部脊髄症の手~

 

 

頚部脊髄症の手の症候

 脊髄の障害部位の違いによって

  ①索路徴候(long tract sign)

  ②髄節徴候(segmental sign)  の2つに分けられる。

索路徴候とは

圧迫高位脊髄の白質の障害によるもの。

脊髄白質の障害は、圧迫高位より遠位に痙性麻痺・筋力低下は一般的に伴わないと言われている(みられても軽度のことが多い)。

髄節徴候とは

脊髄の灰白質の障害によるもので圧迫高位の脊髄節支配筋の筋力低下や筋委縮を生じ、深部腱反射は低下ないし消失(弛緩性麻痺)。

 

索路徴候でみられる手の症候

Myelopathy hand(頚髄症の手)

①手が開きづらい:Finger escape signで評価

Finger escape signとは・・・

手のひらを下に向けて両手を前に出し、全ての指を揃えて30秒伸ばした状態を保つ。頚髄症の重症度によって小指、薬指、中指と揃えることや伸ばすことが出来なくなる。

②尺側(小指側)の指が言うことをきかない手:10秒テスト(Grip and release test) により評価。

10秒テスト(Grip and release test)とは・・・

手のひらを下に向けて両手を前に出し、「グー」「パー」を出来るだけ早くかつ不完全な曲げ伸ばしにならないように10秒間で何回出来るか数える。健常者における平均値は26±6.7回、頚髄症患者と健常者の閾値は21~22回、高齢者の場合は20回以下、壮年以下では25回以下で回数が低下していると判断。

 

髄節徴候

頸椎症で脊髄が圧迫された場合は,通常は髄節症候が索路症候よりも先行して生じる。

索路症候を伴わない髄節症候では,神経根症候との鑑別が必要である。

典型的な神経根痛(肩甲部,上肢の高度の痛みがあり,頸椎の後屈や病変側への側屈で痛みがビリっと走る)があれば,神経根症候の可能性が高い。また髄節性のしびれでは手掌側が強いことが多いのに対して,神経根症のしびれでは,手背側が強いことが多い。

 

頚部神経根症について

年齢:中高年層に多く、10歳代は皆無であり、20歳代は稀

初発症状:頚部痛単独が7割、頚部痛に上肢痛あるいは手指のしびれを併発したのが3割頚部神経根症のほとんどが片側の頚部痛で発症。※因みに脊髄症の多くが指のしびれで発症。

 

頚部神経根症の手の症候

 大きく2つの特徴:①感覚障害(指の痺れ) ②筋力低下(運動機能障害) 

①感覚障害(指の痺れ)

初期症状は両手指のしびれと歩行障害であり、それぞれ64%、16%とした報告がある。

手の巧緻性障害も特徴的な症状であり、手指のすばやい把握動作とその解除や内転、外転動作が障害され、 myelopathy hand と呼ばれる。客観的指標としては finger escape sign (小,環,中指の内転および伸展の障害により5段階に分類)と10秒テスト(10秒間に20回以下しか手指の把握動作とその解除ができなければ異常)がある。

②筋力低下(運動機能障害)

初期症状は両手指のしびれと歩行障害であり、それぞれ64%、16%とした報告がある。

痙性歩行が明らかな症例では両下肢の反射は亢進し、Babinski 反射や足クローヌスが高率に陽性となる。失調性歩行のある場合には閉眼によってこの傾向は悪化し、Romberg 徴候は陽性となる。一方、上肢においては圧迫高位の髄節支配の筋の腱反射は低下、それより下位の髄節支配の筋の腱反射は亢進し、Hoffmann 徴候陽性となる。

 

【介護】職業性腰痛の現状と展望

【介護】職業性腰痛の現状と展望

 

 

 

職業性腰痛とは

日本産業衛生学会では職業性腰背部障害と、行政上では業務上の腰痛(災害性腰痛 と非災害性腰痛とを区別される)とされており、WHOでは労働関連性疾患に包括され。作業関連性腰痛とされている。

 

腰痛の職業性危険因子

職業性腰痛の発生には、多数の因子が絡み合っており、疫学や生体力学のみならず,種々の臨床医学的研究(X線検査、MRI検査、電気生理学的検索、筋力評価など)の検討がされてきている。

職業性危険因子は・・・

①作業要因

➁環境要因

③心因的・社会的要因

④個人的要因

多数の危険因子が絡み合う職業として、長時間の拘束姿勢保持、振動が合わさる長距離トラック運転があげられる.

 

職業性腰痛の具体例

肉体的重労働

肉体的重労働が腰痛を引き起こすことは事実。重労働には、どのような職業であるかFrymoyerらの定義によると、腰を傷める者が年間1.5%以上発生する職種は運輸・倉庫業などが該当する。

継続的な静的労働姿勢

長時間座り続けたり、ある姿勢で仕事を継続する労働も腰痛の危険因子である。1日の労働時間の半分以上を自動車運転に費やす者は、椎間板ヘルニアの発生率3倍にもなるという報告がある。これは、長時間の座位姿勢保持と振動との影響とされている。

体幹の屈曲・捻転

屈曲・捻転が腰痛の発生に深い関連性を有するという報告は多数みられる。この複合動作は、物の挙上(持ち上げる)を伴うこともしばしばある。自動車の組立ライン、土木作業、看護業務などがあげられるが、事務員でもよくとられる動作である。

物体の挙上(持ち上げ)

物体の挙上(持ち上げ)が腰痛の原因となることは、多くの研究から明白となっており、常識でもある。職業性危険因子としての物体の挙上は、挙上重量のみならず、数人での物体運搬時に1人が急に物体から手を離す場合や予想外の重量物を手渡される時などの急激な力学的要請時や反復動作も関係する。

物体の押し・引き

物体の押し・引きを要する作業従事者は、通常の労働者よりも腰痛の発生頻度が5倍多いとの報告がある。押し・引きの動作で椎間板内圧が上昇すると言われている。

反復作業

反復作業は、単調な作業内容による心理的因子の影響もある。流れ作業の手仕事従事者は、事務員より腰痛の発生頻度が高い。

振動

振動は、椎間板の代謝に影響し、傍脊柱筋に疲労をもたらすことが生体力学的、生理学的研究から検証されている。そのため、トラック、バス、飛行機、建設機械などの運転手は、腰痛のリスクが高く、他職種の労働者よりも早期から腰痛に罹患しやすい。

心因的・社会的因子

これらの中で不満足な職業・職種,労働者間の不協調、単調な作業などの職場に関連するものも危険因子となる。

 

【介護】鼠径ヘルニアとは~よく聞くけど結局なに?~

【介護】鼠径ヘルニアとは~よく聞くけど結局なに???~

 

 

 

鼠径ヘルニアとは

ヘルニアとは、腹腔内容物(腸管や脂肪)が、腹壁に生じた(または生来有する)欠損部(脆弱となった部分)を通じて飛び出す状態。いわゆる脱腸と言われおり、左右の太腿の付け根部分に発生するヘルニアの総称を「鼠径ヘルニア」という。腹部に生じるヘルニアの約80%は鼠径ヘルニアと言われている。

 

鼠径ヘルニアの種類

鼠径ヘルニアには一般的に

・外鼠径ヘルニア

・内鼠径ヘルニア

・大腿ヘルニア

の3種類があり、鼠径部のどの部分にヘルニアが発生するかによって、種類が分けられる。外鼠径ヘルニアは解剖学的な理由から、男性に多く発生。大腿ヘルニアは女性が発症することが多いと言われている。

 

鼠径ヘルニアの原因・症状

原因

鼠径ヘルニアを発症する原因は、先天性と後天性がある。

先天性の場合:生まれたときからヘルニア嚢が存在するため、乳児期から鼠径ヘルニアを発症。

後天性の場合:立ったり座ったりという慢性的な鼠径部への圧力に加え、加齢による腹壁の脆弱化によって鼠径ヘルニアを発症。

症状

鼠径部に膨らみができ、不快感や違和感、あるいは痛みが現れる。また、立っているとき膨らみや違和感があるのに、横になると内容物が腹部に戻るため膨らみや違和感がなくなるのが特徴。

 

鼠径ヘルニアの診断・治療

鼠径ヘルニアの診断は、基本的に問診と患部の視診・触診で診断できることが多い。

しかし、鼠径ヘルニアの種類や似ている病気を鑑別することができないため、超音波検査も併用を行なうことも多い。

治療

鼠径部ヘルニアは構造的な問題が大きい為、自然治癒は期待できません。治療は手術が原則

手術の種類と方法

鼠径ヘルニアの手術には、鼠径部を3~4cmほど切開する鼠径部切開法と、腹腔内に腹腔鏡(腹腔内を調べる内視鏡の一種)を挿入する腹腔鏡下修復術の2種類ある。

<手術手順>

①筋肉や靭帯の隙間であるヘルニア門から出たヘルニア嚢を、周囲の組織からヘルニア門の裏側まで剥離。

②剥離したヘルニア嚢を切除、または還納し、ヘルニア門を閉鎖ないし縫縮。

※以前まではヘルニア門を縫い閉じていたが、現在は人工の膜をヘルニア門にあてがう方法が一般的になってきた。

退院後の生活

退院した直後から、基本的には普段通りの生活を送っていただくことが可能。

数日の間は、過激な運動や重いものを持つ行為は控えるとよい。

 

嵌頓(かんとん)とは??

腸の一部がヘルニア門に挟まり込んで、おなかのなかに戻らなくなってしまった状態を嵌頓(かんとん)という。嵌頓を放置すると腸が虚血の状態となり、腸閉塞や腸が壊死するケースもある。

※腸閉塞:口から摂取した食物や消化液の流れが、腸のなかで滞ってしまう疾患。腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れる。

 

【介護】男女別にみた認知症高齢者の病前性格と BPSDの関連

【介護】男女別にみた認知症高齢者の病前性格と BPSDの関連

 

 

 

BPSDとは

BPSDの定義

BPSDを「認知症患者にしばしば生じる、 知覚認識、思考内容、気分、行動の障害による症状」と定義。

BPSDの症状

抑うつ、せん妄、妄想、幻覚、徘徊、失禁、暴力、食異常といったものである。しかし、その症状も認知症状や環境・体調、薬剤などほかの要因が加わり区別は難しい場合もある。

BPSDによる介助者の影響

BPSDは、介護者と患者のQOLの低下、介護者のストレス増大など、さまざまな問題が生じ、多くの主介護者が BPSDへの対応方法が分からず、介護負担感を抱えてしまっていることが在宅介護を困難にする。

 

BPSDへの対処方法 

薬物療法

BPSDは介護者の適正な介入と薬物療法によって症状の改善がみられることが明らかとなっているが、BPSDは身体的および環境要因が関与することもあるため、対応の第一選択は非薬物的介入を原則とする姿勢が重要である。

※抗精神病薬を使用する群のほうがプラセボ投与群に比べて死亡率が増加することが報告されている。

環境改善

・落ち着く場所の確保

・服薬調整管理

・課題の工夫

・本人生活ペース確保

・自力可能課題実施      といった対応が症状を改善させた。

※日常生活リズムの確保や嫌がることをしないといった対応により症状が改善した。

 

BPSDの症状の男女比較

男女の違い

男女は脳機能の違いや、性格特性の違いから BPSDの現れ方が異なっている可能性が示唆されている。

男性:女性に比べて攻撃的行動、退行が多くみられる。

女性:男性に比べてうつ症状が多くみられる。

男性において最も多くみられた症状

・易刺激性(54.9%)

・夜間行動(49.0%)

・興奮(45.1%)であった。

女性において最も多くみられた症状

・妄想(61.7%)

・興奮 (56.5%)

・易刺激性(56.5%)

・夜間行動(54.8%)

 

BPSDと性格の関連

男性の性格変化

勤勉性傾向の性格は脱抑制、神経症傾向の性格は易刺激性、協調性傾向の性格は異食を起こしやすいという結果がある。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症では前頭葉の障害が指摘されているが、レビー小体型認知症に限定した研究結果では、勤勉性の病前性格が興奮を起こしやすかったことを報告している。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症を対象に行われた先行研究では、協調性の欠如した性格で焦燥性興奮、易刺激性、アパシーが多くみられたと報告がある。

 

男女別にみた精神疾患の関連性

男性の場合

男性は外向性、勤勉性、開放性傾向の性格はうつ症状を起こしにくい。

うつと性格特性に関連があり、高いニューロチシズム(神経症傾向)、低い外向性、低い誠実性といった性格の人はうつになりやすい。外向性は、社交的、活動的な性格であり、開放性は、好奇心がある、興味が広い性格であるため、うつが少なかったと推察される。

女性の場合

女性は協調性傾向の性格が多く、アパシーが多くみられた。

先行研究では、アルツハイマー型認知症で協調性傾向の性格はアパシーを起こしにくいことが報告されている。協調性は柔軟な、気の良い性格であり、先行研究と同様にアパシーになりにくいことが推察される。

 

文献

原著_TJDCR20002_男女別にみた認知症高齢者の病前性格とBPSDの関連野_2020.0609.indd (jst.go.jp)